
こんにちは。
今回は、この時期にご質問の多い、日焼け止めについてまとめてみました 🙂
夏が近づくと、お子さんと一緒に外で過ごす機会が増えてきます。公園遊びやプール、キャンプなど、楽しい思い出をたくさん作れる季節ですが、同時に気をつけたいのが「紫外線(UV)」の影響です。
子どもの肌は大人よりもずっとデリケート。だからこそ、紫外線対策は大人以上に丁寧に行う必要があります。
今回は、小児科医の立場から「なぜ日焼け止めが必要なのか」「どんな製品を選べばよいか」「正しい使い方」について詳しくご説明します。
■ 子どもの肌と紫外線:ダメージを受けやすい理由
赤ちゃんや子どもの皮膚は、まだ発達途中です。角質層が薄く、皮脂分泌も少ないため、紫外線によるダメージを受けやすい状態です。
また、子どものころに浴びた紫外線の蓄積は、将来的な皮膚がんのリスクにも影響する可能性が指摘されています。皮膚は紫外線によるダメージを記憶しており、蓄積された細胞への傷は大人になってから現れることもあります。
つまり、「子どもだから大丈夫」「少しくらい日焼けしても元気そうだから平気」というのは誤解であり、子ども時代こそ、紫外線対策のスタート地点と考えることが大切です。紫外線を浴びる外遊びの機会も、こども時代が一番長いことが多いですもんね。院長が大学時代、皮膚科教授が授業で「20歳までに90%以上の紫外線を浴び終わる。だから、君たちはもはや今から色々あがいても遅いんだけどね。」とおっしゃっていた言葉が衝撃で記憶に残っているくらいです。
■ 日焼け止めは何歳から使える?
日焼け止めは、一般的に生後6か月を過ぎたら使用可能とされています。
それ以前の赤ちゃんは皮膚が非常に敏感なため、まずは**日陰での行動、帽子、長袖などの「物理的な遮蔽」**を基本とし、必要最低限の日光の中で過ごすようにしましょう。天然成分を使った新生児から使用可能なものもあるので、それであれば塗布しても問題ないことがほとんどです。
■ 日焼け止めの選び方
子どもに使用する日焼け止めを選ぶ際は、次のポイントを押さえておきましょう。
◎ ノンケミカル(紫外線吸収剤フリー)の製品
肌への刺激を抑えるため、紫外線吸収剤ではなく、「紫外線散乱剤(酸化亜鉛、酸化チタン)」が使われているものが安心です。これらは紫外線を肌の上で“跳ね返す”仕組みで、化学変化がない分刺激が少ないのが特徴です。
◎ SPF・PAの数値は「ほどほど」でOK
子どもに使う日焼け止めは、SPF20〜30、PA++程度で十分です。SPFの数値が高いほど肌への負担も増える傾向があるため、過剰な数値の製品は避けたほうが無難です。強力な対策が必要な場合(水辺・長時間の屋外活動など)は、用途に応じて使い分けましょう。
◎ 添加物にも注意
「無香料・無着色・アルコールフリー」など、肌に刺激となる成分が含まれていない製品を選びましょう。赤ちゃん用・敏感肌用と記載のある製品は比較的安心です。
■ 日焼け止めの正しい使い方
日焼け止めは、「いつ」「どこに」「どのように」塗るかがポイントです。
▸ 塗るタイミング:外出の15〜30分前
日焼け止めの効果はすぐに発揮されるわけではありません。お出かけの少し前に塗っておくことで、肌にしっかりと定着し、効果を発揮します。
▸ 塗る部位:顔・耳・首・手足など露出部全体
特に耳の裏、首の後ろ、足の甲は忘れやすいポイント。しっかりカバーしてあげましょう。
▸ 塗り直し:2〜3時間おき、または水遊び・汗のあとに
日焼け止めは汗や水、摩擦で落ちてしまいます。ウォータープルーフタイプでも、完全には落下を防げないため、こまめな塗り直しが必要です。
■ 使用後のスキンケア:やさしく落として保湿を
日焼け止めは1日の終わりには必ず落とすようにしましょう。
基本的には、ぬるま湯とベビーソープでやさしく洗うだけでOKです。ゴシゴシこすらず、たっぷり泡立てて洗うのがコツです。
洗顔後は、しっかり保湿することも忘れずに。乾燥や湿疹を防ぐために、普段お使いの保湿剤でお手入れしましょう。
■ 日焼け止めだけに頼らない! 総合的な紫外線対策を
日焼け止めはあくまで「紫外線対策のひとつ」です。他にも以下のような対策を併用することで、より安全にお子さんの肌を守ることができます。
- 帽子やUVカットの衣類を着用する
- 日陰で遊ぶ時間を意識的に増やす
- 紫外線が最も強い10時〜14時の外出は控える
■ まとめ
子どもにとっての日焼けは、見た目だけでなく、健康に影響を及ぼすものです。日焼け止めの正しい使い方を知り、肌にやさしい製品を選ぶことが、将来の健康な肌につながります。
紫外線から子どもの肌を守るのは、今しかできない大切な習慣のひとつです。日焼けはやけどです。お子様と一緒にパパやママ、家族みんなで紫外線対策をすることが大切です。ご家庭でも無理なく継続できる方法を取り入れて、楽しく健やかな夏を過ごしていただければと思います。
もちろん、日焼け止め自体が合わず、皮膚トラブルを起こす方もいらっしゃいます。身体のどこか一部で試して問題ないか確認してから、全身に使ってくださいね!何かお困りごと、お悩みごとがあれば、いつでもご相談ください。